
最近、YouTubeやSNSで「VTuber」や、まるで本物の人間のような「バーチャルヒューマン」を見かける機会が増えたと思いませんか? アニメみたいな可愛い子から、モデルさんのようにリアルな人まで、その姿はさまざま。実は今、こうしたバーチャルな存在が、企業の広報や情報発信の新しい「顔」として、大きな注目を集めているんです。
でも、なぜ企業はアニメのキャラクターやCGのモデルさんを、わざわざ会社の顔にするのでしょうか? それは、私たちが普段接している情報とは少し違う、新しい魅力や可能性を秘めているからかもしれません。
今回は、そんなバーチャルキャラクターたちが企業とタッグを組んでどんな活躍をしているのか、そして私たちの未来にどんな変化をもたらすのか、最新の事例をのぞきながら、その秘密に迫ってみましょう。
おしゃれ? 面白い? バーチャルな彼女たちのリアルな活躍
まるでそこにいるみたい! IKEA原宿店に現れた「imma」
ピンク色のボブヘアが印象的な「imma(イマ)」ちゃん。彼女は、コンピューターグラフィックスで作られたバーチャルヒューマンですが、そのリアルさとおしゃれな雰囲気で、ファッションアイコンとしても注目されています。
家具でおなじみのIKEAは、このimmaちゃんとコラボレーション。IKEA原宿店のオープンに合わせて、immaちゃんがまるで店内で生活しているかのような風景をインスタグラムやお店のディスプレイで公開しました。ベッドでくつろいだり、キッチンでお料理したり…。バーチャルな存在なのに、リアルな空間に自然に溶け込んでいる様子は、とても新鮮で話題になりました。
これは、特に新しいものやおしゃれなものに敏感な若い世代に、「IKEAってなんだか面白いことやってる!」と感じてもらうための素敵なアイデアでした。バーチャルとリアルが融合した新しい見せ方で、多くの人の心を掴んだ好例と言えるでしょう。
推しがCMに!? 日清食品とVTuberたちの楽しいコラボ
一方、YouTubeなどで活躍するVTuberたちも、企業とのコラボレーションで引っ張りだこです。例えば、日清食品は「カップヌードル」などのプロモーションで、多くの人気VTuberとタイアップしています。
VTuberがゲーム実況の生配信中に美味しそうにカップヌードルを食べる姿を見せたり、製品をテーマにしたオリジナルソングや動画を作ったり。ファンにとっては、自分の「推し」が好きな商品を紹介してくれるのは嬉しいですし、企業側にとっても、そのVTuberのファン層にダイレクトに、しかも楽しく商品の魅力をアピールできる絶好の機会になります。
こうしたコラボは、まるで友達におすすめされているような親近感があり、一方的なCMよりもずっと心に響くのかもしれません。
なぜ企業はバーチャルな「顔」を選ぶの?
企業がタレントさんやモデルさんではなく、あえてバーチャルキャラクターを選ぶのには、いくつか理由があります。
- イメージ通りの「顔」でいられる?
バーチャルキャラクターなら、その見た目や性格、話す内容まで、企業が伝えたいブランドイメージに合わせて細かく設定できます。人間のタレントさんのように、予期せぬスキャンダルでイメージダウン…なんて心配が少ないのも、企業にとっては安心材料かもしれません。(もちろん、VTuberの場合は「中の人」の言動が影響することもありますが…)
- いつでも、どこでも活躍できる?
バーチャルな存在なので、時間や場所に縛られません。理論上は24時間365日、世界中のどこへでも情報を届けることができます。イベント会場に行かなくても、オンラインでたくさんの人と交流できるのも強みです。
- もっと深い「ファン」になっちゃうかも?
特にVTuberは、ライブ配信などを通してファンと直接コミュニケーションをとることが得意です。コメントを拾ってくれたり、質問に答えてくれたり…。こうした双方向のやり取りは、ファンとの間に強い絆、まるで友達のような親近感を生み出すことがあります。企業も、こうした深い関係性を築くことで、より熱心なファンを獲得したいと考えているのです。
でも、いいことばかりじゃない? ちょっと気になる点も
もちろん、課題もあります。あまりにリアルすぎると「なんだか不気味…」と感じてしまう「不気味の谷」と呼ばれる現象や、そもそも「作られた存在」であることから、どこか嘘っぽく感じてしまう人もいるかもしれません。また、リアルなバーチャルヒューマンを作るには、まだまだ高い技術やコストがかかるという現実もあります。
バーチャルキャラクターは、もっと身近な存在になる?
今は主に企業の広告塔として活躍している彼女たちですが、これからはもっと色々な場面で出会うことになるかもしれません。
例えば、お店のデジタルサイネージで商品案内をしてくれたり、ウェブサイトでAIと連携して私たちの質問に答えてくれるチャットボットになったり。メタバースと呼ばれる仮想空間がもっと身近になれば、そこでの案内役やお店のスタッフとして活躍する可能性もあります。
技術の進歩によって、もっと人間らしい自然な会話ができたり、私たちの好みに合わせた情報を提供してくれたりするようになるかもしれませんね。
ただ、便利になる一方で、注意も必要です。バーチャルだからといって何でも許されるわけではありません。作られたキャラクターが発信する情報の信頼性や、個人情報の扱い、キャラクターデザインが特定のイメージを押し付けないかなど、私たち利用者も、そして企業側も、倫理的な視点を忘れてはいけない大切なポイントです。
新しい時代のコミュニケーションが始まる
VTuberやバーチャルヒューマンといったバーチャルキャラクターたちは、企業にとって、私たち生活者と新しい形でつながるための、とてもユニークな存在になりつつあります。
彼女たちの登場は、単なる一時的なブームではなく、企業と私たちのコミュニケーションのあり方そのものを変えていく可能性を秘めているのかもしれません。
コントロールしやすさと、人間らしい温かみ。そのバランスをどう取っていくのか。企業がバーチャルな「顔」を通して、私たちにどんなメッセージを届け、どんな関係を築いていこうとするのか、これからも注目していきたいですね。あなたの好きなブランドも、いつか素敵なバーチャルキャラクターを登場させるかもしれませんよ。
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